
バラの挿し木で増やす方法|初心者でもできる簡単な手順とコツ

Contents
「お気に入りのバラをもう1本育ててみたい」「剪定で出た枝を活かしたい」──そんな時におすすめなのが“挿し木”です。苗を購入しなくても、おうちにあるバラの枝から増やすことができるので、コストをかけずに増やしたい人にもぴったりの方法です。難しそうに思われがちですが、いくつかのポイントを押さえれば、初心者でも十分チャレンジ可能です。この記事では、必要な道具や土の選び方から、挿し木の手順、発根までの管理方法を写真付きで丁寧に解説しています。ぜひお気に入りの品種で試してみてください。
※挿し木で増やす際は、ご自宅でご自分のために増やして楽しむのは問題ありませんが、種苗法により増殖・販売・譲渡することが法律で禁止されている品種もあるため、ご注意ください。農林水産省に品種登録されている植物の品種を検索できます。
農林水産省(品種登録データ検索):https://www.hinshu2.maff.go.jp/vips/cmm/apCMM110.aspx
挿し木に適した時期
- 春挿し:新芽が伸び始めた4月〜6月頃がベスト
- 秋挿し:新梢が充実する9月〜10月が適期(寒冷地は早めに)
準備するもの
- 挿し木用の枝(当年枝・太さ5〜8mm程度)
- 清潔なハサミまたはナイフ
- 挿し木用土(赤玉土小粒、バーミキュライト、挿し木専用土など)
- 育苗ポットまたは小鉢
- 発根促進剤(ルートンなどがあると成功率UP)
- 霧吹き、水受けトレーなど
挿し木用の枝(当年枝・太さ5〜8mm程度)
バラの挿し木には、当年に伸びた健康な枝(当年枝)を使用します。枝の太さは5〜8mmほどが理想で、鉛筆程度の太さが目安です。病気や害虫のない、葉がしっかりついた元気な枝を選び、葉の節のすぐ下でカットします。硬すぎる枝や細すぎる枝は発根しづらいため避けましょう。
清潔なハサミまたはナイフ
枝を切る際には、清潔でよく切れるハサミやナイフを使います。刃が汚れていると、切り口から雑菌が入り発根がうまくいかない原因になります。使用前後にはアルコールなどで消毒すると安心です。鋭く一気にカットすることで、枝へのダメージも最小限に抑えられます。
挿し木用土
挿し木に使う土は、水はけが良く、病原菌の少ない清潔な用土が適しています。赤玉土(小粒)やバーミキュライト、挿し木・種まき用の専用土などが定番です。肥料分のない用土を使うことで、根が育つことに集中でき、発根率が高まります。使用前に軽く湿らせておくと挿しやすくなります。
育苗ポットまたは小鉢
挿し木をする際は、通気性と排水性の良い育苗ポットや素焼きの小鉢などを使うと管理がしやすくなります。根が出た後の成長を考えると、少し深めのポットがおすすめです。スリッド入りのポットじゃない場合は、ポットの下には鉢底石を入れて排水性を確保しましょう。
霧吹き、水受けトレーなど
挿し木後の湿度管理には霧吹きが便利です。土表面や葉に優しく水分を与えることで乾燥を防ぎ、発根を助けます。また、水受けトレーを用意しておくと、底面給水が可能になり、水やりの頻度や手間を減らすことができます。挿し木期間中は、用土の乾燥と過湿に特に注意しましょう。
発根促進剤
発根促進剤(植物ホルモン)は、挿し木の発根を助け、成功率を高めてくれる便利な資材です。ルートンやメネデールなどが一般的で、使用方法は粉を切り口にまぶす・水に溶かして使うなど種類により異なります。使わなくても発根は可能ですが、特に初心者には心強い味方です。
※今回は発根促進剤の使用法をご紹介するため両方を使っていますが、どちらか一つだけの使用で問題ありません。(私は普段メネデール入りの水につけてから挿すことが多いです)
バラの挿し木手順
- 元気な枝を10〜15cmにカット。下葉を取り除き、上に2枚程度葉を残す。
- 下端を斜めにカットし、1時間以上水につけておく。
- あらかじめ湿らせた挿し木用土に、割り箸などで穴を開けてから枝を挿す。
- 明るい日陰で管理し、乾燥しないよう霧吹きで保湿を続ける。
- 2〜3週間で発根、1ヶ月ほどで定植できるくらいに根が張る。
挿し穂を用意する
まずは健康なバラの枝の挿し穂を数本用意します。発根に失敗する可能性もあるため、予備も含めて複数本用意すると安心です。枝の太さは5〜8mm程度、当年に伸びた枝(当年枝)がおすすめです。
葉っぱは2枚ほどにし、大きい場合は水分蒸発を防ぐためにサイズも半分に切ります。
切り口を水につけて給水させる
切り口から水を吸わせることで、挿し木後の乾燥を防ぎます。特におすすめなのが、発根促進剤「メネデール」を規定量に希釈した水に数時間浸けておく方法です。発根率を高める効果が期待できます。
挿し木用土を準備する
用土は清潔で水はけの良いものを使いましょう。赤玉土小粒やバーミキュライト、挿し木専用土が適しています。あらかじめ用土を湿らせ、割り箸やピンなどで挿し穂より少し大きめの穴を開けておくと、切り口を傷めずスムーズに挿せます。
挿し穂を挿す
挿し穂の切り口に、粉末タイプの発根促進剤(ルートンなど)を軽くまぶすと発根を促進します(任意)。切り口が傷まないように、あらかじめ開けた穴にやさしく挿し、土を軽く押さえて固定します。
水やりをする
挿し終えたら、たっぷりと水やりをして土と挿し穂を密着させましょう。鉢底から水が流れるくらいしっかり与えることで、根元が安定します。ネームプレートに挿した日付と品種名を書いて一緒にさしておくことで、以降の管理もしやすくなります。
その後の管理
明るい日陰に置き、風通しの良い場所で管理します。直射日光は避け、乾燥を防ぐために1日に数回霧吹きで葉や周囲を保湿してあげましょう。土が乾きすぎないよう注意しつつ、過湿にもならないように管理します。
発根後の管理
- 軽く引いて抵抗があれば発根成功です。
- 根が回ったら鉢上げし、徐々に日なたへ慣らします。
- 植え替え後は肥料は控えめにし、水やりを丁寧にします。
挿し木をしてから2〜4週間ほど経ったら、軽く挿し穂を引いてみましょう。手ごたえを感じるようであれば発根成功のサインです。根が鉢の中で回り始めたら、育苗ポットや小鉢に鉢上げします。その際は、肥料入りの培養土を使っても構いません。植え替えの時期は真夏を避ければいつでもOKです。植え替え後は、急な環境変化を避けるために徐々に日なたへ慣らしながら管理します。根が安定するまでは肥料を控えめにし、乾き具合を見ながら丁寧に水やりを続けることで、健全な株に育てることができます。
成功させるためのポイント
- 枝は元気で太めなものを選ぶと成功率が高いです。
- 発根まで直射日光と高温を避け、風通しの良い明るい日陰に置きます。
- 土が乾燥しすぎないよう毎日水やり・霧吹きで保湿を続けます。
今回挿し木したバラはシュラブローズの「クリスティアーナ」を使って行ないました。
耐病性に優れ、たくさんの花をあげてくれたイチオシのバラになりますので、ぜひチェックしてみてください🥰

バラの挿し木は、少しの手間と愛情で新しい苗を育てられる魅力的な方法です。成功率を上げるためには、挿し穂の選び方や用土、湿度管理など、いくつかのコツがありますが、経験を積むことでコツが掴めてくるはずです。失敗しても落ち込まずに、またチャレンジすればきっと結果がついてきます。今回ご紹介した手順を参考に、ぜひご自宅のバラで試してみてください。
バラの挿し木で使う道具やおすすめ資材
私が使った資材やおすすめ道具のご紹介です。よければ参考にどうぞ♪
挿し穂を清潔にカットする園芸用ハサミ(剪定バサミ)
発根促進剤
挿し木・種まき用土
育苗ポット(3号または2.5号)
霧吹きスプレー
日付や品種を記録するネームプレート

































